運送業界の2024年問題なにが問題になるか?
働き方改革の推進により、2024年に施行される労働時間の制限についての規定は
2024年に中小企業も対象となります。
これにより、基本となる労働時間は1日8時間以内、週40時間以内という原則を運送業界などでも守る必要がでるため
その影響が問題視されています。
そもそもの話になるのですが、運送業界は慢性的なドライバー不足が問題となっていて、トラックドライバーの高齢化がすすんでいます
また、荷主側の物流運用にあわせて運送手配をする関係上、トラック輸送は土日祝日365日停止することはできず
また、配送距離や配送先での荷さばき時間、前のトラックの荷さばき待ちなどの拘束時間などとにかく長時間の労働になりやすい業界です
一例として、東京→大阪間の輸送案件の場合、
荷主が午前中の到着を希望した場合、大型トラック輸送は高速道路を使用する前提で約6時間かかります
朝9時の到着予定で配車をした場合、遅くともトラックの出発は朝の3時には出発しないといけません
輸送前後の荷さばきに積込1時間、荷下ろし1時間の時間がかかった場合、あわせて8時間
1日8時間までの労働前提だと、ここでこのドライバーの1日の仕事は終了です
しかし、輸送トラックを空の状態で東京に戻す場合、トラックの帰り便にかかる時間は行きと同じで、かつ
使う燃料費も同様にかかります。
可能ならば帰り便にも荷物を満載させて帰ったほうがいいです。
ですので大概の長距離トラックは帰り便に荷物が積み込めるように事前に輸送先の荷主と調整をしておいたり
またスポット案件で向かった場合はその到着地でやはりスポット案件が発生していないか会社に確認をとります
そうこうして帰り便の荷物手配をしている時間まで労働時間に含めていけば、1日8時間での労働など不可能だということがわかります
これをふまえて対策を考えると、トラック運転手を増やした上、超過時間に対して正規の報酬をあたえ荷主に超過分の料金を値上げ分として徴収する事しかないのですが、おそらくですが2024年以降、こうした働き方改革の指導に従わず、いままでの通りの運賃、運用、ドライバーへの賃金体制で仕事をすすめる中小運送会社が沢山出てくるのではないかと危惧しています。
こうした労基に従わずに仕事を進める運送会社は、労基から是正勧告を受けると過去分のドライバーへの超過未払い給与の支払いや、是正後の仕事がままならなくなるなど経営を非常に圧迫する事態に直面して会社が維持できない状況になることが予想されます。
結果、その運送会社を利用していた荷主が輸送手段を失う事になり、これもまた業務上非常に困った状況になると思われます。
おそらくこうした事象が露呈するのは2024年当年ではなく、2~3年くらい経過した頃に
さまざまな物流輸送の停滞があちこちでポツポツと穴あき状態のように発生して初めて消費者の方々に実感として伝わるのではないかと思います。
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