先日明るみに出た、ベネッセの個人情報漏洩の事件
個人情報保護法の観点からこの事件をみると、情報漏洩した名簿の管理体制について
ベネッセと関連管理会社との管理体制などが問題になってきますが、
こうした名簿や企業情報などを持ち出して、一方の企業の利益を損じる行為に対する
不正競争防止法という法律の視点から見て行くとまた違った見え方になってきます。
今回の事件に関する見解はこちらのサイトで詳しく説明されています。
ベネッセの顧客情報流出、不正競争防止法の観点から責任を考える
http://huff.to/1y6r9BB
HuffPostJapanより
この不正競争防止法の視点でみると、ベネッセは被害者、ジャストシステムは無意識とはいえ
加害者という構図になり、ジャストシステムはけしからんという論調にもなって
しまいそうですが、
ジャストシステム側も今回の事件で大きな損害が発生しています。
株価急落もそうですが、ダイレクトメール発送そのものについても、その発行件数に
比例して多大なコストがかかるからです。
具体的には
・名簿入手にかかる費用
・ダイレクトメールの封筒、封入物に必要な費用
・ダイレクトメールを封入、封緘、宛名貼りをして発送準備をする費用
・ダイレクトメールを発送する郵便料
ざっとこれだけの準備と実費が必要になります。
これが何百万件分あるわけですから、かかる費用は膨大です。
ちなみに名簿を各種アンケートやイベント、インターネットなどの直接入手以外の
方法で購入する場合の費用はこちらの記事で解説されています。
ベネッセ漏えい事件「名簿業者」の実態 : IT&メディア : 読売新聞(YOMIURI ONLINE) http://www.yomiuri.co.jp/it/security/goshinjyutsu/20140712-OYT8T50015.html?from=tw Yomiuri_Onlineより
何百万件にもおよぶ大量のダイレクトメールの発送準備に関しては、
ほとんどのケースで、ダイレクトメール発送代行業者が必要な資材、宛名を
企業から預かって、封入、仕分けなどの準備を行い、郵便局に届けます。
作業時においては、必要な広さの倉庫と、インサーターという封入専門の機械が
必要です。また、宛名もラベルシールでの貼り付けだけでなく
封筒に直接印刷する方法もあり、その場合名簿をラベル等の実物ではなく
データとして受け取り、処理をする場合もあります。
ですので、こうした大量のダイレクトメールの発送代行を行う企業は
名簿の流出などをしない為の管理手段を定めて運用を行っています。
また、こうした企業の大多数が第三者機関より「Pマーク(プライバシーマーク)制度」の認定を受けて
その管理手段が一定の品質に保たれているか公表をしています。
今回情報が漏洩したベネッセもPマークを取得していましたし、また関連企業に
名簿を一時的に提供する際にもこのPマークの管理基準に則した管理手段を指導して
実施させていたはずです。
今回の漏洩事件でこのPマークを管理する一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)
からもコメントが出ています。
http://privacymark.jp/news/2014/0710/index.html
今回の事件で企業としての損害はどうなるのか、
まだ事件の全容が解明されていませんし、今後の対応もわからないのでハッキリしませんが
今後、こうした名簿売買のビジネスや利用について、非常に影響の大きい事件だと
いうことは間違いないです。
波及する影響先は、名簿売買の業者だけでなく、ダイレクトメール発送代行業、
印刷会社など多岐にわたっていくと思います。
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